企業活動を滞りなく進めるためには、常日頃から運営資金が途切れないように気を配っておく必要があります。

必要な場面で必要な額の資金調達を確実に実施できるようにしておくことは、経営者の重要な課題の一つです。

事業資金の調達手段は多くの種類がありますが、本章では比較的身近なビジネスローンについて詳しく解説します。

メリットやデメリットなどと一緒に見ていきますので、ぜひ参考になさってください。

ビジネスローンとはどういうものか?

ローン=借り入れということはご承知の通りですが、ローン商品にも色々な種類があります。

例えばフリーローンと呼ばれるものは、基本的に使途は幅広く自由度が高いものの、事業性のある用途やギャンブル等に利用することは禁じられます。

一方、ビジネスローンは事業性のある用途にのみ借入資金の利用が可能で、その他の目的での借り入れができない特性を有します。

運転資金や設備投資のための資金、あるいは開業資金などに利用するなど、ビジネス関連であれば幅広い用途に活用が可能です。

事業性資金という特性上、ビジネスローンを利用できるのは法人や個人事業主などに限られます。

多くの金融機関がビジネスローン商品を扱っていますが、大きく銀行系と信販会社系、消費者金融系に分けることができます。

金融機関の種類によって金利等の条件も変わってくるので、以下で概要と特徴を押さえましょう。

①銀行系のビジネスローン

金利に関しては銀行系が最も安く金利負担の面では有利です。

銀行系もメガバンクと地方銀行に大別できますが、金利はメガバンクの方が安く最低1%代~14%程度のレンジとなるでしょう。

地方銀行では概ね3%~15%程度となります。

借り入れ限度額もメガバンクの方が大きく、1億円程度の借り入れも可能です。

地方銀行では数百万円から数千万円程度が限度でしょう。

どちらも審査に要する期間は約1週間弱、通常はメガバンクの方が審査が厳しくなります。

②信販会社系

オリックスやクレディセゾンなどの信販会社系もビジネスローンを扱います。

銀行系よりも審査は緩めであることと、審査に要する期間が数日程度で銀行よりも早く、利用しやすい面もあります。

一方金利は概ね5%~18%程度と銀行系よりも高くなるのが普通です。

借り入れ限度額は数百万円~1千万円程度です。

③消費者金融系

アイフルやプロミスなどの消費者金融系も扱いがあり、審査の速さや通りやすさは信販会社よりもやや有利で、三種類の金融機関の中では一番融通が利く部類になります。

一方で金利は概ね6%~18%程度となり、借り入れ限度額は数百万円程度と低くなります。

ビジネスローンのメリット

ビジネスローンのメリット

ここでは他の資金調達手段と比べたビジネスローンのメリットを確認します。

①一般的な融資より審査が緩め

ビジネスローンは一般的な融資よりも審査基準が緩いため、その分借りやすくなっています。

中小企業などは融資の審査を受けるハードルが高くなりますが、ビジネスローンは敷居を下げて小規模の事業者でも借りやすいように配慮されています。

②融資実行まで時間がかからない

一般的な融資は審査に一か月以上かかることも普通ですが、ビジネスローンは事業性融資のため迅速性も重視し、審査にかかる期間を数日から一週間程度に短縮しています。

③担保や保証人が不要の商品もある

個別のビジネスローン商品によりますが、基本となる商品は信用貸しの性質となるので担保の提供や保証人の用意が不要です。

担保に出す不動産がない、保証人が用意できない場合でも利用できるのは大きな利点です。

ただし多くの場合、代表者自身が保証人となる代表者保証が求められます。

④総量規制の対象外

利用者が個人の場合、総量規制の対象にならないのも利点です。

貸金業法では、個人の借り入れは年収の三分の一までというルールがあるので、それ以上の融資を受けることができません。

ビジネスローンはこのルールの対象外になるので、個人事業主は必要に応じて借り入れが可能です。

なお法人については元々総量規制の対象外です。

ビジネスローンのデメリット

ビジネスローンのデメリット

敷居を下げ事業者が借りやすい状況がある反面、ビジネスローンには以下のようなデメリットもあります。

①金利は高くなる

利用者の間口が広がる一方で、一般的な融資と比べると金利が高く設定されます。

融資を実行する金融機関としては、貸し倒れのリスクを取る代わりに金利を上げて実利を確保する形です。

利用者側としては、審査の緩さやスピードのメリットを享受する代わりに、金利負担を背負うことになります。

②借り入れ限度額は低め

メガバンクのビジネスローンであれば数千万円ほどの借り入れも不可能ではないものの、一般的な融資と比べれば借り入れ限度額は低くなります。

これは地方銀行でも信販会社系、消費者金融系でも同じことが言えます。

それぞれの金融機関で扱う他の融資商品と比べると、ビジネスローンの借り入れ限度額は低くなるのが普通です。

③今後の融資に影響することも

中小事業者や個人事業主の場合、銀行系のビジネスローンも断られてしまうことがあり、その場合は信販会社系や消費者金融系などいわゆるノンバンクのビジネスローンしか選択肢がなくなります。

この状況を第三者目線で見た場合、その会社は銀行に相手にされない=資金繰りが良くないと見られる可能性があります。

これは信用の面から見てかなりマイナスです。

例えば将来、事業拡大などを目的に借り入れを検討する際に、銀行や日本政策金融公庫など公的な資金供給機関の審査でマイナスに働く可能性があります。

銀行系とノンバンク系の手続き面の違い

銀行系とノンバンク系の手続き面の違い

金融機関ごとの条件面の違いについては簡単に確認しましたが、手続き面の違いについても押さえておきます。

使い勝手が違うと実務面でかなり差がでるので、ぜひ知っておきましょう。

銀行系は金利が低めというメリットがあるものの、融資する側としては慎重さが求められるため、ほとんどの場合は事業主との面談を義務付けています。

忙しい中で資料を揃え、時間を取って面談に出向かなければならないのは手間の面で大変ですし、面接されるという心理的な負担や屈辱感を感じるかもしれません。

ノンバンクは各金融機関やケースにもよりますが、迅速性を売りにすることから事業主との面談を要しないことも多く、手間や心理的負担を感じずに済みます。

最近は提出する資料も少なくし、書面の提出を不要とするところもあります。

これを可能にしているのがスコアリングシステムと呼ばれるものです。

従来、借り入れの審査には必ず人の目が入り、経験を積んだ審査担当者が融資対象の会社の経営状態を詳しく吟味していました。

スコアリングシステムAIを活用した自動審査システムで、パソコンに入っている会計帳簿などのデータなどを集計して融資の可否や融資可能額をはじき出します。

面談のための移動も、紙媒体の資料提出も不要となれば多少金利が高くても利用者側の利便性は格段に向上します。

まとめ

まとめ

本章では資金調達手段の一つであるビジネスローンの性質やメリット・デメリットなどを見てきました。

他の一般的な融資と比べると、迅速性や審査の通りやすさなどの面で秀でる一方、金利が高く限度額も低めになります。

ビジネスローンを扱う金融機関によってもそれぞれ有利・不利が分かれてきます。

金利負担を考えれば、可能であればまずは銀行系を検討し、支障があれば信販系や消費者金融系を検討すると良いでしょう。

いずれにしても借り入れは返済義務を背負うものですから、自社の資金管理状況を把握して、無理のない範囲の借り入れに努めてください。

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