ファクタリング自体は違法ではありません。
こちらの「ファクタリングとは違法なのか?分かりやすく解説」で詳しく解説していますが、政府も推奨している資金調達方法のひとつです。
問題となっているのは、「給料ファクタリング」や「悪徳業者による偽ファクタリング」によるもの。
本記事では「悪徳業者の手口」や「ファクタリングにおける違法行為」、「違法な給料ファクタリング」についてお話していきます。
目次
給料ファクタリングは融資です
「給料ファクタリング」は「ファクタリング」ではありません。
2020年3月24日に、東京地方裁判所は給料ファクタリングを「貸金」に当たるとし、刑事罰の対象となる判決が出ています。
そして、2020年7月29日には、給料ファクタリング「Dライン」を提供していた「SONマネジメント株式会社」の代表を含む4人が逮捕をされました。
①給料はファクタリングできない
給料ファクタリングは「労働債権」を買い取るといったサービスとして、各業者はファクタリングを行ってきました。
しかし、裁判では買い取った債権の代金回収を利用者本人が行うのであれば、「買い取り」ではなく「担保」と同じ性質。
したがって、給料ファクタリングは融資と体系が変わらないため、「貸金業」とする。
ということになり、貸金業の許可を受けていない給料ファクタリング業者は違法ということになりました。
②手口が闇金
貸金業法では最大でも金利は20%ほど。
法定金利を大幅に超えた金利で融資を行う業者はヤミ金と呼ばれています。
そして、給料ファクタリングの手数料の一般的な相場は約30%以上。
給料ファクタリングは貸金と認定されましたので、手数料は金利と同一であり、ヤミ金の設定する金利と同じと言えます。
このことから、警視庁でも貸金業登録をしていない業者の給料ファクタリングは「ヤミ金」と断定しています。
給与ファクタリングとは
「給与ファクタリング」とは、企業の資金調達手段の一つであるファクタリングの仕組みを利用したもので、個人の給与を債権とみなし、その給与債権を給与ファクタリング業者に買い取ってもらう資金調達方法を言い、手数料を差し引かれた額を給料日よりも前に現金で手に入れることができます。
しかし、貸金業登録を受けずに給与ファクタリングを行うことは違法であり、こうした無登録業者(ヤミ金融業者)を利用した場合、高額な手数料を支払わされることになります。
引用:警視庁 無登録の給与ファクタリング業者に注意!
法人のファクタリングにおける違法行為【悪徳業者の手口】
ヤミ金はなにも給料ファクタリング業者だけではありません。
法人へのファクタリングを認めている金融庁でも、ファクタリングを装ったヤミ金への注意喚起を行っています。
ここでは、ヤミ金などの悪徳業者の手口について見ていきましょう。
・契約が不審 ・受け取る金額が債権額と比べて著しく低額 ・債権が回収不能のとき、売主が買い戻すことになっている |
①契約が不審
ファクタリング契約は確認事項が非常に多いものです。
そのため、悪徳業者はさらに確認事項を多くして、利用者に不利な条件を分かりにくくしています。
加えて、契約書の控えを渡さないなどして後から利用者がしっかりと確認できないようにも。
特に「売買契約」と定められていないファクタリングは、売買取引であるファクタリングにおいて100%違法ですので、しっかりと確認が必要です。
②手数料が著しく高い
ファクタリングの手数料は、ファクタリング会社の負うリスクによって変動があります。
しかし、ファクタリング会社がリスクを負わずに手数料が高い場合は、「不法な貸し付け(融資)」です。
ファクタリング会社の負うリスクとは主に、「売掛先から債権の代金を回収ができない」こと。
例えば、売掛先が倒産寸前であるような場合であれば、相当のリスクを負うことになりますので、手数料が高くなりがちです。
一方で、業績が好調・安定している企業が売掛先であれば、手数料は低くなるのが一般的。
にも関わらず、高額な手数料が設定されている場合は注意が必要です。
③債権が回収不能のとき、売主が買い戻す償還請求がされることになっている
先ほども述べましたが、ファクタリング会社は「債権回収不能のリスクを負わなければなりません」。
債権回収不能時に、売主が買い戻す償還請求がある場合は「貸金業」に当たります。
貸金業登録業者であれば可能ですが、ヤミ金は無登録業者ですので違法です。
償還請求のあるファクタリングには最大限の注意が必要と言えるでしょう。
ファクタリング契約時に確認するべきこと
ここで、悪徳業者に騙されないために、ファクタリングの契約時に必ず確認しておくべき事項についてご紹介していきます。
必ず確認すべき事項は次の4つです。
・契約の種類 ・償還請求権 ・債権譲渡通知 ・担保の有無 |
①契約の種類
先ほどの「法人のファクタリングにおける違法行為【悪徳業者の手口】」でも紹介しましたが、ファクタリングは売買取引です。
契約の種類は「売買契約」でなければなりません。
契約の種類が「金銭消費貸借契約書」となっている場合は「貸金(融資)」ですので、しっかりと確認をしましょう。
②償還請求権
償還請求権は、ファクタリング業者売掛先から代金を回収できなかった場合に、利用者へ支払ったファクタリング料金の返済を利用者へ請求できるというもの。
償還請求権は「貸金業登録業者しかできない」ものですので、貸金業無登録業者では償還請求はできません。
償還請求権のある契約をする場合は、取引をするファクタリング業者が貸金業登録業者であるか事前に確認が必要です。
③債権譲渡通知
債権譲渡通知は、売掛金がファクタリング業者に譲渡されたということを売掛先に知らせることです。
3社間ファクタリングでは、ファクタリング会社が売掛先から直接資金を回収するため必ず行われます。
しかし、2社間取引では売掛先に知られずに利用できることがメリット。
2社間取引での契約で債権譲渡通知の項目が入っている場合、売掛先に知らせるという脅しに使われることがほとんどです。
2社間取引では債権譲渡通知の項目の有無をしっかりとチェックしましょう。
④担保の有無
ファクタリングは「売買取引」ですので、担保は必要ありません。
担保のある取引は「貸し付け(融資)」であり「ファクタリングではない」ので、ファクタリング契約時には絶対に見落とさないことが重要です。
まとめ
本記事のまとめは以下の通りです。
・給料ファクタリング業者は全て悪徳業者 ・法人のファクタリングにも悪徳業者が多数 ・悪徳業者は「ファクタリングを騙った貸し付け」を行っている ・悪徳業者は契約内容を分かりず辛くしている ・ファクタリング契約時には契約書の内容をしっかりと確認すること |
ファクタリングにおける悪徳業者の手口は「売買契約に見せかけて高額な手数料を取る貸付(融資)」がほとんどです。
実際、給料ファクタリングはそうでしたし、法人の場合もほとんどが同様の手口となります。
ですが、法人の場合は個人を対象とした給料ファクタリングよりも、違法かどうかが見分けにくいもの。
「貸金業登録業者」であれば、手数料が法外でなければ可能な取引が「ファクタリング」であることがあります。
ファクタリングを利用する際には、ファクタリング業者が「貸金業登録業者」なのか、契約形態が「貸付(融資)」となっていないかをしっかりと確認することが重要です。
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