ビジネス経営においては資金繰りや資金調達の問題を避けて通ることはできません

経営実務においては日常の支払などで資金調達に迅速性が求められることが多いですが、反対に資金提供を行う金融機関は十分な審査期間をとり、貸し倒れが生じないようにしなければなりません。

急ぎの事案に柔軟に対処できる資金調達が望まれているところ、オンラインによる融資を可能にする仕組みが登場し話題を集めています。

オンラインレンディング、あるいはオンライン融資などと呼ばれることもあるこのサービスについて、本章で詳しく解説していきます。

オンライン融資ってどんなもの?

オンライン融資ってどんなもの?オンラインレンディングあるいはオンライン融資は、申し込みから融資の実行まですべてがオンライン上で完結する資金調達法です。

通常、金融機関に融資を申し込む場合、多くの資料をそろえて担当者に提出し審査を受けなければいけません

資金を提供する側としても、相手の返済能力をしっかり調べなければ貸し倒れの危険があります。

顧客から預かる預金を原資にしているわけですから、無責任な貸し付けをするわけにはいかないのです。

担当者レベルでの確認だけでなく組織的なチェックが入りますから、仮に融資が認められたとしても実行までには月単位の期間がかかることも珍しくありません

それでも、融資をお願いする側としては待つしかありません

これがオンライン融資の場合、金融機関の窓口に出向く必要もなく、提出する資料もクラウド会計のデータやPOSレジデータ、口座の入出金のデータなどで済み、窓口融資と比べて圧倒的に少ない資料で融資の申し込みが可能です

審査のスピードが飛躍的に向上し、うまくいけば即日の融資も可能です。

こうしたスピーディで手間の少ない融資を可能にしているのがAI技術の進歩です。

フィンテックという言葉を聞いたことがある人も多いと思いますが、テクノロジー技術をファイナンスに活用し新たな価値を創造する技術やサービスのことをいいます。

このフィンテックの技術により、その企業の日ごろの会計データや入出金の記録を分析し、どれくらいの融資ならば取引の安全を保てるのか瞬時に判断することができるようになってきたのです。

オンラインで取引を完結させることができるということで、今この時期において特に話題性をさらっています。

今年猛威を振るったコロナの影響で、あらゆる方面で「非対面」の重要性が増しているのはご存じのとおりです。

オンライン融資はすべてデータでやり取りするので人間同士の接触を回避することができ、この点においても利便性が高いといえます。

オンライン融資のメリットは?

オンライン融資のメリットは?ここではオンライン融資のメリット面をまとめてみましょう。

①原則保証人や担保が不要

オンライン融資では多くの場合保証人や担保の用意が不要です。

一般的な融資では第三者保証が不要でも代表者保証を求められることが多いですが、オンライン融資では代表者保証も求められないことが多いです。

②ケースによっては即日融資も可能

ケースにもよりますが、うまくいけば申し込み当日に融資を受けられることもあります。

ただあまり過剰な期待はできず、基本的には2日~3日程度の審査期間を見込んでおくのが無難です。

③書類の作成が不要

提出するのは全てデータ資料ですので、紙の資料を作成する必要はありません

ただでさえ時間がない事案では、書類の書き方の指導を受けるだけで貴重な時間をとられます。

オンライン融資はAIがデータを分析するので、人間が読み解かなければならない資料を作る必要がありません。

④電子契約が使える

ビジネスにおいて重要な権利義務の発生を記録する契約書は、従来であれば遠方でも郵送などの形で必ず書面で取り付けるのが一般的でした。

最近は電子契約書というものが使えるようになっていて、オンライン融資でもこの技術が導入されています。

WEB上で署名して返送するだけで済むので、契約面においても手間がかからないようになっています。

オンライン融資のデメリット

オンライン融資のデメリットオンライン融資も以下のようにいくつかのデメリットがあります。

①金利が高め

金利については一般的な融資よりも高めになり、サービス提供元や個別の案件により変動しますが、5%~10%程度あるいはこれよりも広いレンジで幅が出ることもあります。

通常の融資と比べれば「高い!」と感じることがほとんどでしょう。

②融資金額が少ない

AIが診断してくれるとしても、人の目を入れた本格的な審査と比べると安全の面からどうしても小口融資に絞られます。

概ね数十万円程度から多くても一千万円程度と、通常の融資と比べると金額は小さくなります。

③返済期間が短い

オンライン融資では返済期間も短めに設定されます。

長くても半年~1年程度で返済しなければならないので、長期間の資金計画には不向きです。

④パートナーとしての関係は築けない

銀行などの金融機関とは長い付き合いの中で信用を積み上げていくことができます。

信用を積んでいれば困った時に柔軟に対応してくれることも期待できますが、オンライン融資の場合はそのような付き合い方ができません

良くも悪くも血の通わないドライな関係です。

オンライン融資のニーズは中小事業者や個人事業者

オンライン融資のニーズは中小事業者や個人事業者オンライン融資は迅速性があり少ない手間で利用できる利便性に強みがあるものの、融資金額が少な目などの弱みもあります。

このことから、あまり多くの資金を必要としない中小事業者や個人事業者など小回りの利く事業者のニーズが多いようです。

中小の事業者は支払いの焦げ付きなど突発的な資金需要を生じることが多く、これに速やかに対応してくれるオンライン融資は心強い味方になります。

もちろん大企業が利用できないことはないので、事業規模に関わらず利用は可能ですが、親和性や実際のニーズは中小の方が大きいということですね。

ファクタリングとは住み分けも

ファクタリングとは住み分けも中小事業者の資金需要に対する新たなサービスとしてオンライン融資を紹介してきましたが、我々が手がけるファクタリングとは住み分けができています。

オンライン融資はつまり借金ですから返済義務が生じます。

また高い金利も発生しますが、ファクタリングは借金ではありません

ファクタリングは赤字が増えないので財務諸表の見た目も悪化せず、むしろオフバランス化により見た目が良くなります

当然返済義務などは生じませんし、買取金は即日の交付も可能です。

売掛債権という財産を売却するのがファクタリングですので、借り入れのように他人の力を借りる資金調達ではありません。

仮に借り入れができない状態であったとしても、売掛金があればファクタリングの利用は可能です。

いずれにしても、事業者の方にとっては資金調達の選択肢が複数あることは安心材料になりますね。

まとめ

まとめ この回ではオンライン融資、オンラインレンディングについて取り上げ、どのようなサービスなのか、メリットやデメリットと一緒に見てきました。

完全非対面で融資を受けられる資金調達法で、今後も利用の増加が見込まれる新しいサービスです。

迅速性や手間の削減の面で特に秀でていますが、融資額は小口で金利も高いなどのデメリットがいくつかあります

中長期の資金繰りではなく、日常の突発的な資金需要には強みを見ることができるので、必要に応じて検討してみても良いでしょう。