早いもので、今年も残すところ1ヶ月をきりました。

今年もたくさんの事業主の方々に弊社のファクタリングサービスをご利用いただきました。この場を借りて心より御礼申し上げます。

苦難の一年の始まり

苦難の一年の始まり

さて、今年は経済、社会両面において近年まれにみる苦難の一年となりました。

その大元凶となったのが、中国・武漢市で発生したものと思われる新型コロナウイルスです。

このウイルスの蔓延と感染症の拡大は中国国内にとどまらず、ついには未曾有のパンデミック(世界的大流行)へと発展し、年末にさしかかった今もなお世界を混乱させ続けています。

日本において、感染の拡大が顕著になりはじめたのは3月以降のことでした。以来、新規感染者数は波を打つように増減を繰り返してきましたが、新規感染者数がゼロ人になる月は結局一度もなく、収束の見通しがつかないまま1年を終えようとしています

新型コロナに翻弄され続けたこの1年で、社会も経済も大きなダメージを受けることとなりました。

オリ・パラの延期決定と経済の低迷

オリ・パラの延期決定と経済の低迷

今年は、世界的な大イベントであるオリンピック・パラリンピックの開催が予定されていたにもかかわらず、新型コロナの影響によって1年間の延期が決定。

多くの外国人旅行客の消費が期待された宿泊事業者や観光事業者などのインバウンド関連業界を中心に多大な経済損失を被ることとなり、国内の感染拡大が顕著になり始めた直後から倒産や廃業に追い込まれる事業者が増加しました。

また、新型コロナの感染拡大は従業員の雇用にも大きな変化を与えることとなりました。

従来の日本では、企業や団体と雇用契約を交わした従業員は、職場への出勤が当たり前というスタイルでしたが、感染対策の一環として在宅勤務やリモートワークを導入する企業が相次ぐなど、「働き方」の多様化が急速に進む事態となりました。

一方で、上半期は歴史的な大不況となったことから、企業側の人員整理も進められ、従業員の解雇や雇用形態の変化も顕著にみられました。

特に、4月に発令された緊急事態宣言にともなった外出自粛要請や営業時間短縮などの影響から飲食事業者や小売事業者は大きな経営不振へと陥ることとなり、止むを得ず従業員の削減にふみきった企業や個人店が続出

同じく、海外工場の稼働停止によって製品の製造ストップや材料の調達が間に合わないといったケースが生じたことにより、製造事業者や建設事業者といった企業でも人員整理が多々見られ、失業者の増加につながっています。

資金支援策の打ち出しと景気の回復

資金支援策の打ち出しと景気の回復

そのような状況を鑑みた上で、政府や自治体はさまざまな資金支援策を打ち出し、企業や団体の資金調達面のサポートを進めてきました。

中小零細企業や個人事業主を対象とした小規模事業者持続化補助金をはじめ、民間の金融機関との連携体制による実質無利子・無担保融資、需給条件緩和を緩和した雇用調整助成金といった緊急の資金支援策を積極的に活用されたという事業主様も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

これらの資金支援策の実施や緊急事態宣言の解除、さらには海外各国の経済活動も徐々に再開されたこともあり、6月あたりからは日経平均株価も持ち直しはじめ少しずつ景気の回復もみられるようになりました。

また、外出を控える消費者の巣ごもり消費の需要が高まったことから、商品やサービスの提供を行うIT事業者や、個人宅への配送を専門とする運送業などの事業は好調をキープ。

反対に、先述した飲食事業や小売事業、製造事業や建設事業などでは、外出の自粛や海外需要の縮小などが影響し、依然として経営が不安定になっている企業が多数存在することとなりました。

第3波到来の11月、Go toキャンペーンの見直し

第3波到来の11月、Go toキャンペーンの見直し

そうして迎えた先月の11月。

国内の新規感染者数は急激に増加。東京では今年初めて1日の感染者数が500人、全国の1日の感染者数も2000人を超えるなど、新型コロナの第3波ともいえる状況に陥ることとなり、経済活動に再び大きな不安が募っています。

この状況を踏まえ、政府が肝いりでスタートさせた「Go To トラベル」や「Go To イート」などの「Go Toキャンペーン」の全面的な見直しが決定

観光事業や飲食事業のカンフル剤として期待されたこれらの経済政策の見直しは、必然だとはいえるものの、景気・経済の再興を妨げる要因となることも確かであり、残念であるといわざるをえません。

飲食事業や観光事業にとっては、本来であれば繁忙期となる年末・年始にかけての需要喚起は難しくなったといえ、このまま第3波が続けば、今後もますますの低迷が予想されるのではないでしょうか。

新型コロナ関連の倒産企業数の増加

新型コロナ関連の倒産企業数の増加

では、今年の企業倒産数はどうだったのでしょうか。

東京商工リサーチによる倒産件数の発表は、現時点(12月2日)において、10月までのデータが公開されています。

緊急事態宣言下だった4月の倒産件数は743件で、前年同月と比べた増加率は15.1%増という高い水準での増加がありました。

また5月は裁判所の一部業務縮小などの影響により、314件にまで減少したものの、6月は780件で、前年同月比は6.2%の増加。さらに7月は789件の企業が倒産に至り、倒産件数は2ヶ月連続で今年の最多を更新しました。

一方、政府の資金支援策やゆるやかな景気の回復などもみられたことから、8月、9月、10月は500〜600件ほどに減少し、上半期に比べれば比較的落ち着き始めた傾向であるようにも捉えられます。

しかし、この倒産件数はあくまで“全体の倒産件数”です。新型コロナ関連の倒産件数に限ってみると、10月は104件であり、これは2月に新型コロナ関連倒産が初めて発生してから、初の100件越えとなりました。

したがって新型コロナ関連の倒産件数は明らかな増加傾向にあると考えられます。

米大統領選挙の結果と今後の経済状況の展望

米大統領選挙の結果と今後の経済状況の展望

第3波の到来とGo To キャンペーンの見直し、さらには新型コロナ関連の倒産件数が増加を続ける中で迎えた年末

世界の先進各国で新型ワクチンの開発が進められるも、感染拡大の収束が見通せない状況が続く中、来年の経済状況はどうなっていくと予想できるのでしょうか。

少なくとも、政府も多くの企業も来年の経済状況に対しては今年の上半期ほどの落ち込みには至らないと予想しているのではないでしょうか。

それを証明するかのように、11月の日経平均株価は月末終値が前月比883円46銭高の1万8308円となりました。

これは2ヶ月連続の上昇であり、今後の経済状況に期待する投資家の動きによるものと考えられます。

しかし、いくら日経平均株価の上昇がみられたとしても、その恩恵を受けられる企業は一部であり、特に経営体力に欠ける中小零細企業にとっては年明けも今年同様の不安が続いていくのではないでしょうか。

また、11月には今後の日本経済を左右するであろう大きな出来事がありました。それがアメリカ大統領選挙です。

今年のアメリカ大統領選挙は、新型コロナの影響やまれにみる大接戦となったことから、投開票から大勢が判明するまで数日かかる事態となりました。

結果として民主党のバイデン氏がトランプ大統領に代わる新たな大統領に内定することとなりましたが、注目したいのはその政策です。

世界のリーダー的存在であるアメリカ大統領の政策は、自国だけでなく諸外国の経済にも影響するほどに多大なものであるため、当然ながら日本経済の今後を占うには注目すべき点であることは言うまでもありません。

バイデン氏の政策の中で、日本経済にもっとも影響を与えそうなものといえばクリーンエネルギー政策ではないでしょうか。

石油産業の奨励を進めてきたトランプ大統領に対して、Co2 の排出量削減に努めると予想されるバイデン氏。

この政策からも、日本のエネルギー産業には大きな影響力が及ぶと考えられ、特に自動車産業ではEV車の普及へ向けて向けた動きが活発化しそうです。

また、TPPへの復帰も視野に入れているとされるため、もしもアメリカがTPP復帰となれば、東南アジアやインドへのインフラ投資の動きが拡大し、日本のインフラ関連事業者も大きな恩恵を受けることにつながるにつながるのではないでしょうか。

ただし、新型コロナの感染拡大が続けば続くほどに、日本のみならず世界各国の企業も苦境に瀕することになり、これらの期待も水の泡に消えかねないでしょう。

アメリカの新大統領の誕生と新たな政策の推進があっても、日本経済再生への道のりは来年も決して楽観視できない状況が続く見込みであることは確かです。

苦難の1年の中で日本経済と社会が受けたダメージの回復のためにも、1日も 早い新型コロナの収束を願うばかりです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

来年も株式会社誠和キャピタルをどうぞよろしくお願い申し上げます。