事業を立ち上げる予定、または、継続していく経営者様にとって資金調達は大変重要なものです。

ですが、法人と個人事業主の資金調達方法にはどのような違いがあるのでしょうか?

今回は、「資金調達の種類」「法人と個人事業主での手段の違い」について分かりやすく解説しています。

大きく変わるものはない

大きく変わるものはない

実は、個人事業主と法人の資金調達する手段はそれほど変わりません

法人でなければできないような資金調達手段は「株が関係するもの」くらいです。

融資などの審査で法人の方が通りやすいというようなことも言われていますが、実際は実績と計画性、熱意で審査結果は変わります。

ですので、法人だから審査に通りやすいといったことは特にないと考えてもよいでしょう。

しかし、「株式」は法人でなければ発行することはできません

株式を利用した資金調達は、個人事業主では利用したくてもできないものです。

そういったことから、個人事業主と法人の資金調達する手段の違いは株に関する資金調達くらいのものとなります。

手段は変わらないがリスクは違う

手段は変わらないがリスクは違う

個人事業主と法人では、資金調達時のリスクが異なります

基本的に個人事業主は全てのリスクを自分で負わなければなりません

一方で法人の場合、法人と社長は別人格での扱いとなりますので、リスクは法人が負うことになります。

例えば、融資で資金調達に成功したものの、事業がうまくいかずに返済のめどが立たなくなった場合。

個人事業主であれば、事業主本人が個人の財産で弁済をしなければなりません。

一方で法人の場合は、会社の財産で弁済を行うため、事業主本人の財産を守ることができます

ただし、保証人が社長の場合はその限りではありませんが、個人の財産を守ることができるのが法人です。

個人と法人の資金調達法の比較表

個人と法人の資金調達法の比較表

以下は資金調達方法についてまとめた表です。

個人事業主 法人
融資
補助金・助成金
ファクタリング
クラウドファンディング △(購入型は〇、投資型は×)
投資 ×

上の表の通り、個人事業主は株の関係する資金調達はできません。

ですが、それ以外であれば法人と同様に利用することができます。

次の章からは、それぞれの資金調達手段についてもう少し詳しくご説明して参ります

融資

融資

・日本政策金融公庫
・銀行融資
・ノンバンク融資
・制度融資

銀行、ノンバンク、日本政策金融公庫、信用保証協会などから融資で資金調達をする場合、法人・個人事業主ともに利用をすることができます

また、「地方自治体」「金融機関」「信用保証協会」が協力した「制度融資」も同様に法人・個人事業主ともに利用ができます

融資金額は個人事業主だから低く、法人だから高く設定ということもほとんどありません

ただし、法人のみを対象としたプランがある場合があることもあります。

個人事業主の場合は、融資プランが個人事業主も対象としているかの確認が必要です。

助成金

助成金

助成金は法人でしか利用できないと考えられがちですが、個人事業主でも利用できるものがあります

しかし、雇用保険に入っていない個人事業主の方が多いため、助成金は「個人事業主では助成金がもらえない」といったイメージが強いものです。

助成金は「雇用保険に加入」しているかどうかで対象が決まるため、雇用保険に加入をしていれば個人事業主でも利用できるものがあります

以下は、個人事業主でも利用できる助成金の一部の一覧です。

・キャリアアップ助成金
・人材開発支援助成金
・トライアル雇用助成金
・特定求職者雇用開発助成金
・地方雇用開発助成金
・生涯現役企業支援助成金
・地方再生中小企業創業助成金
など

補助金補助金

補助金も助成金と同様に法人・個人事業主ともに利用することができるものがあります。

・小規模事業者持続化補助金
・創業・事業継承補助金
・中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業補助金
・中小企業ホームページ作成費補助金
・ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金
・小規模事業者持続化補助金
など

補助金を利用するにためには審査が必要ですが、その点は法人・個人事業主とも必要です。

補助金は公募を定期的にしていますので、募集期間内に応募が必要となります。

また、利用できる事業者数にも限りがありますので、法人・個人事業主問わずに条件をクリアしたうえで、効果的なプレゼンテーションが必要です。

ファクタリング

ファクタリング

ファクタリングも資金調達をする手段として、法人・個人事業主がともに利用できます

手段の違いは特段ありませんが、「個人事業主ではファクタリングを利用できない」といったイメージが強いものです。

大きな要因として、個人事業主では「まとまった売掛債権を用意し辛い」「売掛先との定期的な取引がない」「継続的な売り上げがない」というような場合が多いからです。

反対にこれらの要因をクリアできていれば、個人事業主でも十分ファクタリングを利用することができます

クラウドファンディング

クラウドファンディング

クラウドファンディングは気軽に資金調達ができる方法かつ、法人・個人事業主ともに利用できるものです。

クラウドファンディングには6種類の方法があり、以下のようなクラウドファンディングがあります。

・購入型
・融資型
・ファンド型
・株式型(法人のみ)
・寄付型
・ふるさと納税型

上記のうち、自治体の利用する「ふるさと納税型」と、被災地のへの支援などで利用される「寄付型」を除く4つのクラウドファンディングで資金調達をすることが可能です。

ですが、株式型は個人事業主では利用ができません。これらを含めて詳しく解説していきます。

①購入型クラウドファンディング

自社のサービスや商品などを支援者に購入してもらって資金調達をする方法です。

自社のサービスや商品を販売するような感覚ですので、法人・個人事業主ともに利用することができます

②融資型クラウドファンディング

融資をしたい個人と、融資を受けたい企業をマッチングする「ソーシャルレンディング」でもある「融資型クラウドファンディング」。

利息を投資家へリターンすることで資金調達ができるこの方法は、法人・個人事業主ともに利用可能です。

③ファンド型クラウドファンディング

ファンド型は、投資した事業の売り上げに対する分配金がリターンとなります。

融資型では「利息」がリターンですが、ファンド型は事業が成功すれば大きなリターンに

失敗すれば、相応のリスクがあります。

投資は現金なので、法人・個人事業主ともに利用できる資金調達方法です。

④株式型クラウドファンディング(法人のみ)

株式型クラウドファンディングは、法人のみができる資金調達方法です。

投資家に対して未公開株を提供することで資金を集める方法となります。

⑤株主の発行(法人のみ)

法人でなければできない方法に「株式の発行」もあります。

取引先との関係安定化や株価の低い企業の資金調達に有効となる「第三者割当増資」や、多くの資金を集めることも可能な「新株の発行」などで資金調達を行う方法です。

個人事業主では株式を発行することができないため、法人にのみ有効な資金調達手段となります。

まとめ

まとめ

個人事業主と法人の資金調達する手段については、「株式の関係するもの」以外は大きく違いはないと言えるでしょう。

しかし、個人事業主の場合は事業規模が小さいことが多いことから、利用できない資金調達方法ばかりだと思い込みがちです。

よく調べることで、個人事業主でも利用できる資金調達方法が数多く存在します。

また、法人だからこそ利用できる資金調達方法も確かにあります。

資金調達を検討中の場合は、ご自身の利用できる資金調達方法をよく調べてみましょう